夏休みの宿題の代表格とも言える「読書感想文」。
あなたのお子さんは自分から前向きに取り掛かっておられますでしょうか?
もし、本が苦手、読書感想文はもっと苦手・・・・というお子さんがいれば、少し手伝ってあげないといけないかもしれませんよね。
そんな方達のために今回は、小学校中学年(3、4年生)向けの「読書感想文の書き方のコツ」や「中学年向けの書きだしや構成」をお教えします。
そして「中学年の読書感想文の例文」「中学年の読書感想文におすすめの本」もご紹介したいと思います。
上手くお子さんをサポートしてあげて、読書感想文を乗り切ってくださいね。
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小学生中学年の読書感想文の書き方のコツは?
読書感想文というと少しかしこまったイメージを持たれる方も多いかもしれません。
でもそれでは、感想文を書くお子さん自身はもちろん、それを読む先生だって人間ですから退屈してしまうことでしょう。
優等生の完璧な作品を目指すとお子さんだけでなく、サポートするお母さんたちも辛い思いをすることになる思います。
そこでおすすめするのは、「先生に向かって書こうとしないで」「友だちに向けて話しかけるように書いてごらん」ということです。
先生に評価してもらわなきゃ、と思うだけで、特に真面目なお子さんは脳がフリーズ気味になってしまうものです(笑)
それより仲の良い友だち、大好きな友人に「こう思ったんだよ」とか「こんな事知ってた?」と語りかけるような文章を書く方が、きっとお子さん本来の感性が表に出ますし、小学校中学年らしい作品に仕上がるのではないでしょうか。
もし、書きにくそうにしているお子さんがいたら、まずお父さんやお母さんが友だち役になって聞いてあげることをして下さい。
「それでどう思ったの?」「エッ!?なになに、どうして?」と上手に誘導してあげましょう。
そして、お子さんならではの面白いとらえ方や考え、発見があれば、「なるほど」「すごい」とほめてその気にさせてあげましょう。ここが、親の腕の見せ所です(笑)
さらに、読み手が面白いと思う感想文は、本の内容からお子さんの実体験や実生活のリアルな話につなげるとか、本から学んだり気付いたりしたことを生活目線で「こう取り入れたい」とか「私もこうしようと思う」というそこにしかないオリジナルのくだりを多めに盛り込むことがコツと言えます。
(のちほどコンクールの最優秀作品をご紹介しますが、実生活にもとづいたリアルな話が多くを占めていて読んでいてとても面白いです!)
小学生中学年の場合、文字数の目安は原稿用紙3枚、つまり1,200字までですから感じたことや考えたこと気付いたことそして、実体験の話を本の文章の引用部分も含めて「200~400字」の区切りにして、これを「3~5」ほどにまとめれば出来上がります。
そして、一番お子さんが言いたいこと、訴えたいことを最後のクライマックスに持って行くようにサポートしてあげると良いのではないでしょうか。
中学年向けの書き出しや構成は?
先ほど書きましたように「3~5」つの区切りを作り、それらをどの順に並べるかということを考えれば、それがそのまま「構成」となります。
まず、書き出しは結論部分と同じくらい大事なので少しインパクトが欲しいですね。
・この本を選んだ理由
・この本を読んでよかったこと
・感激や感動した部分をドンと最初に分かりやすく書いてみる
などの工夫をしてはどうでしょう。
そして、「区切り」の内容と順番や構成を考える上で、ひとつ心掛けると有効なテクニックがあります。
それは、「2段構えで掘り下げる」ということです。
どういうことかと言うと、ひとつの「区切り」を独立した内容として書いても良いのですが、次の区切りで関連事項につなげたり、そこから別の発想につなげたりして、もう一段掘り下げて読み手に「読み応え」を与えるテクニックです。この後ご紹介する読書感想文の優秀作品では、このテクニックが見事に駆使されています。
なので、読み手は全く飽きないで一気に最後まで読んでしまいます。
中学年の読書感想文の例文をチェック!
それでは実際の感想文を例にとって説明して行きましょう。
第63回小学校中学年の部 最優秀作品「まほうみたいな干した物」です。
ちなみに全文は、以下のリンクからお読み頂けます。
http://www.dokusyokansoubun.jp/text63rd/styu.html
まず、いきなり人間でなく鳥までもが「干し物」を利用していることへの衝撃を素直に書き、恐らく大人でもほとんど知らないこの内容に読み手の先生たちも「エッ!」と素で驚きそうです(笑)
しかもこの話題は、本の中ではなく裏表紙から取り上げている所も意外です。
『特に、うら表紙にあったカエルが、干されていたのにはびっくりした。・・・・鳥も人と同じように、干したものを食べているということか。』
そして、このまま動物ネタが来るのかと思いきや・・・いきなり自分の「おばあちゃんネタ」にジャンピングします!なかなかのテクニックです(驚)
しかも、一緒に作った「干し物」の描写が、雑誌の記事の様にリアルですよね。生きた文章という感じがお見事です。
『この本を読みながら、わたしはおばあちゃんのことを思い出した。・・・・ただ干しただけなのに、全ぜんちがうものになっていて、びっくりした。』
この時点で「区切り」が2つ終了です。
さて、この次から2つ続く「区切り」でいよいよ先ほど書きました「2段階掘り下げ」テクニックが登場します。
まず、干し物の例として主食の米や小麦の話が登場。これを生みだした先人の知恵へのリスペクトを述べます。
『本には、切り干し大根やかつおぶし、梅干しなど、お母さんがよく、・・・中でも、毎日食べているお米が、干した物だったなんて、びっくりした。・・・・人は主食にしたのだ。おかげで、わたしは毎日こまることなく、おいしいごはんを食べている。』
そしてここから、さらに話は、世界の干し物に飛び、「干す」知恵への尊崇の気持ち、そして「世界中が干し物と言うキーワードでつながっている」ことへの素直な感動、さらには命を維持する立て役者としての干し物の一面にまで掘り下げて行きます。
『ほかにも、世界中の干した物がのっていた。ラオスではバナナが、・・・・「干す」という工夫を世界中の人がしてきたのだ。その知えが、みんなの命をつないできたことが分かった。・・・・分かり合える気がしてきた。「世界は一つ。」って本当だ。』
さらに、「世界は一つ」というところにまで話のスケールを壮大に広げて行きます。このテクニック、ご理解いただけましたか?知ってか知らずか、ここまで書ける小学生は、凄いです!偉大です!!
一段、二段と掘り下げることでグングンと感想文に引き込まれてしまうのです。
そして、いよいよオーラスは・・・
『おばあちゃんは、よく自分のことを、「梅干しばあちゃんだよ。」と言うけれど、・・・・今度は、大好きなミカンを、おばあちゃんといっしょに干してみよう。』
ともう一度おばあちゃんを登場させる何とも心憎くも優しい「お孫ちゃん」ぶりを発揮します。これに、大人は顔負けと言うかタジタジと言うか、あっ晴れです(笑)
そして、思いませんでしたか??「おばあちゃんはまだ生きていたんだ!ホッ・・・」と私なんかは安心してしまいました。
何せ最初におばあちゃんが出て来た時は全部「過去形」でしたから、てっきり・・・天国へ・・・?なんて勝手に考えていました。この時間軸のあいまいさというか表現も・・・まさか、わざと??
だとしたら、本当に素晴らしい小学生ライターです!!
そして、おばあちゃんと共に楽しい未来を過ごしたいという考えを述べて終了。お後がよろしいです、よね。
中学年(3~4年生)の読書感想文におすすめの本は?
『ホームランを打ったことのない君に』(理論社) 著者:長谷川集平
プロ野球選手にあこがれる野球少年に読んでもらいたいです。
野球が決してうまくない主人公ルイ。そのルイに野球の魅力を教えてくれる仙ちゃん。
でも、仙ちゃんは交通事故のリハビリ中。仙ちゃんでも一度も打ったことがないホームラン。
リハビリ中の仙ちゃんはいつかそのホームランを打つことを夢に見て決してあきらめていません・・・・
野球少年ならみんな「カキーン」と豪快なホームランを打っていい格好をしたいものです。そんな男の子の琴線に触れられたらいいなと思います。
野球を通して友情が深まって行く様子や親なら誰もが学んでほしいと思う困難があってもなお夢をあきらめずに努力する姿勢がお子さんの心にしっかり届くことを願って・・・おススメしたいと思います。
『若草物語』(ポプラ社)著者:オルコット
南北戦争時代の激動のアメリカにあって力を合わせながらも明るくたくましくそして仲良く苦境を乗り越えて成長して行く四姉妹の物語です。
著者オルコットのおいたちをモチーフに書かれているので迫力とリアルさに満ちています。
これはやはり女の子に読んでもらいたい世界的名作です。
今の日本では4姉妹で育つというのは天然記念物の様に珍しいかもしれません。
日常では考えられない生活環境を想像して、父が戦争で不在の中、母親を中心に四姉妹が協力しながら成長する姿に思いも馳せながら心のひだを増やして下さればいいな、と思いおススメします。
『青い鳥』(ポプラ社)著者:メーテルリンク
ご存知チルチルとミチルの「青い鳥」です。
これは、さきほどの「若草物語」とは違い、完全なるおとぎ話です。
人が生きてゆくうえで完全には避けられない数々の不幸やリスクがあります。
それを色んな妖精や魔女を登場させながら教えてくれます。
幼い兄妹には厳しくてドキドキもしてしまいますが、果たして本当の幸せはどこにあるのか。
お子さんとあらためて「幸せって?」と言う話をすることは少ないかもしれません。
それくらい平和な世の中とも言えるのでしょうか。
でも、当たり前に思うことが実は全く当たり前でないということに気づけたらお子さんの心もとても豊かになると思います。
そんな発見が出来る夏休みにしてさしあげると、どんな場所に遊びに行くよりお子さんにとってはハッピーなことではないでしょうか?
『大きなクマのタハマパー』(ひさかたチャイルド)著者:ハンネレ・フォビイ
クマとリス、ハリネズミとヘラジカという姿も形も性質も全く違う者同士が友達になることを決めます。
そして「友情とは何か」について考えるのです。
その答えは「違っていても良いということ」。
世の中には、だれ一人同じ人は存在しません。そして未熟なほど自分が一番、自分中心と考えてしまうものです。
他人の個性を認めて尊重しあうことや自分の個性が受け入れられた時の喜びも子どもには是非学んでほしいと思います。
お子さんがどんな感想を持つのか、実生活にどの様に取り入れて行くのか、しっかり受け止めて見守ってあげてください。
まとめ
小学校3、4年生と言うと既に個性はハッキリしていますから、読書も好きなお子さんと嫌いなお子さんがいることでしょう。
そして親が読んで欲しいと望む本とお子さんが読みたい本は違うかもしれません。
でもできるだけお子さん自身の想いを尊重してあげて、評価は二の次で伸び伸びと書かせてあげたいものですね。
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