夏の暑さを感じるようになる頃、日本では日頃お世話になっている人への感謝の印としてお中元を贈る風習があります。
地域によって7月初旬であったり下旬であったり、8月15日までに贈るなどと時期は様々ですが、いずれにしても相手への感謝の気持ちを込めて選び贈りたいものですよね。
さて、このお中元、自分が贈る立場の場合には何を贈ろうかと悩むことになるのですが、いただいた場合にもちょっとした悩みが発生しませんか?
そうです!お礼状の書き方です!
ありがたいこととはいえ、いただいた場合にはお礼をする必要があるので、その方法に少し戸惑うことがありませんか?
手渡しの場合にはその場で済みますが、配送されて届いた場合には、まずは電話でお礼の連絡をしますよね。
ですが、親しい間柄ではない場合や仕事関係の間柄であれば、ハガキや封書でのお礼状を出す方が丁寧でいいかもしれません。
電話と違い、相手の都合の悪いタイミングに当たることがないという配慮ができます。
そこで今回は、お中元をいただいた場合のお礼状の書き方について
・上司宛や部下宛の例文や社長宛との違い
・お礼状の構成や書き方のポイント、マナー
といった部分を中心にまとめていきたいと思います。
基本を知って、お礼状をさらっと書ける素敵な大人になりたいものですね。
ぜひ、参考にしてください!!
お中元のお礼状丨上司宛の例文は?社長宛との違いは?
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お中元は、季節の挨拶を兼ねて日頃お世話になっている人へ感謝の気持ちを込めて贈るものです。
なので、通常は目下の人から目上の人へ、会社関係で言うと部下から上司へ贈るのが一般的です。
ですが、稀に上司から部下へ贈るということもあります。
例えば、普段から頑張ってくれている部下へ感謝とねぎらいの意味を込めて、というような気持ちが込められたお中元もあるでしょう。
また、本来のお中元の意味とはかけ離れて、お中元の品を取り扱う企業であればいわゆる「のるま」として売り上げを伸ばすために、致し方なくお中元を購入せねばならず、贈答相手として部下を選ばざるを得ないということもあるでしょう。
いずれにしても、上司からお中元をいただくというのは、やはり恐縮な感じがしますし、せめてお礼の伝え方に粗相がないようにしたいと思うのは当然でしょう。
そこで、お礼状にて丁寧な挨拶をしたいと思うところなのですが、どのような内容にすればいいのかが最大の悩みとなるわけです。
そんな悩みを解決すべく、ここでは上司宛のお礼状の例文を紹介していきましょう。
上司宛の例文紹介
上司宛のお礼状で気をつけたいことは、普段から顔を合わせているかどうかということです。
同じフロアで仕事をしている場合に「お元気ですか?」というような近況を問う文面を入れてしまうと、明らかにテンプレートを利用したな?と勘ぐられてしまいます。
反対に、本社や支社・支店など離れた場所で業務を行っている場合には、問題のない文面となります。
これらを踏まえた上で、次の2つの例文でご自身の環境に合う文面を参考にしてみてください。
<上司宛お礼状文例1>
(比較的顔を合わせる機会が多い場合)
暑さ厳しき折、日々の業務にお忙しくお過ごしのことと思いますが、ご家族の皆様もお変わりなくお過ごしでしょうか
さて、
このたびはお心のこもったお中元の品を頂戴しましてありがとうございました。
日頃から私のほうこそがお世話になっておりますところを、このようなお心遣いを頂戴し深く感動しております。
夏の暑さを吹き飛ばすかのような爽やかな香りと甘く美味しいゼリーを家族一同楽しませていただきました。
おかげさまで夏バテすることなく、一層業務に励むことができそうです。
●●部長におかれましても、まだまだ暑さが続くようですので、夏の疲れがでませんようにご自愛くださいませ。
略儀ながら書中にてお礼申し上げます。
<上司宛お礼状例文2>
(比較的顔を合わせる機会がない場合)
拝啓
立秋とは名ばかりの厳しい暑さが続いています。
●●課長をはじめ、
ご家族の皆様はお変わりなくお過ごしでしょうか。
本日は、結構なお品を頂戴し誠にありがとうございました。
相変わらずの細やかなお心遣いに恐縮でございます。
さっそくですが、家族一同美味しくいただき、夏の疲れを一掃させていただきました。
この夏もまた、元気に過ごすことができそうです。
何かと忙しい時期ではございますが、どうぞご自愛くださいませ。
今後ともご指導の程、よろしくお願い申し上げます。
取り急ぎお礼まで。 敬具
社長宛との違い
上司といっても、普段から身近なところにいる上司と、普段は滅多にお目にかかることのない上司など、様々です。
特に社長となると更に立場的な違いが出てきます。
では、上司宛のお礼状と社長宛のお礼状とに違いはあるのでしょうか。
結論からいうと、基本の構造、言葉遣いは変わりません。
ただし、社長が社員個人のプライベートや家族構成などを知っているなど個人的に私的な付き合いがある場合を除いては、あまりプレイベート感が出るような文面(たとえば「娘が大好きなフルーツで・・・」など)は避けたほうが無難です。
数多くの社員に贈っている場合には、社員1人1人のプライベートを把握する余裕はないでしょう。
それよりも、一社員に対する心遣いへの感謝の気持ちや社員としての今後の抱負、社長の体調を案ずる気持ちをしっかりと伝えましょう。
また、ハガキなどもカジュアルなデザインではなく、ビジネスデザインのものを選ぶといいですね。
お中元のお礼状丨部下宛の例文は?
39cardは書かずに出せるお礼状はがきです#39card #はがき #お礼状 #postcard#サンキューカード #旅するはがき pic.twitter.com/KhzlpvyVd4
— 旅するはがき (@tabihaga) 2016年5月21日
さて、次に部下宛のお礼状の例文について考えていきましょう。
部下からお中元をもらうということは、目下の人が目上の人に感謝を表すというお中元の意図からしても最も多いパターンのように思います。
それだけに、毎年お礼状の内容を考えるのも大変ですし、かといって同じ内容にするわけにもいきませんよね。
この夏のお中元のお礼状には、次のような注意事項と例文を参考にしてみてください。
部下宛の例文紹介
部下宛のお礼状においても、上司宛のお礼状同様に普段から顔を合わせているかどうかに注意して考えなければなりません。
部下が上司へお礼をする場合には、例え毎日顔を合わせるとしても礼儀としてお礼状を出す方が望ましいのですが、上司が部下へお礼をする場合、毎日顔を合わせる間柄であれば直接伝えても問題ないでしょう。
ですが、同じ建物内にいても部署やフロアが異なったり、外出が多く顔を合わせる機会があまりない場合や、地方支社など完全に離れた場所に勤めている場合にはまさしくお礼状が必要です。
このように、それぞれの状況に合う例文を参考にしてください。
<部下宛お礼状例文1>
(比較的顔を合わせる機会が多い場合)
小暑を過ぎ、夏本番を迎えました。
いつも元気に頑張ってくれていますが、体調は問題ありませんか?
猛暑と共にやってくるこの先の繁忙期、皆で力を合わせて乗りきりましょう。
さて、本日はお中元の品をいただきありがとうございました。
香りの良い入浴剤が並んでおり、風呂好きの娘がたいそう喜んでいます。
普段からこのような細やかな心遣いに幾度となく助けられていますが、今後とも変わらぬ活躍と更なる飛躍を期待しております。
まずはお礼まで。
<部下宛お礼状例文2>
(比較的顔を合わせる機会がない場合)
酷暑の毎日がつづきますが、いかがお過ごしでしょうか。
おかげさまで私は、変わらず毎日元気に過ごしておりますが、お酒の飲みすぎに注意される日は多くなってきました。
なかなか難しいですが、そろそろ聞く耳を持たなければならない年齢ですね。
さて、本日お中元のご挨拶をいただきました。
食べ盛りの子がおりますので、このような美味しいものには家族皆大喜びです。
●●支店にいた頃に、私の好物だと話していたことを覚えていてくれたのですね。
相変わらずの心配りに、懐かしい想いでいっぱいです。
まだしばらくは厳しい暑さが続きますが、体調を崩さぬよう気をつけてお過ごしください。
また会える日を楽しみにしております。
お礼状の基本的な構成は?
これまで4つの例文を紹介しましたが、お礼状の基本的な構成も紹介しておきましょう。
<お礼状の基本的な構成>
1.(頭語)
2.時候の挨拶
3.相手の体調や近況を気遣う言葉
4.お礼の言葉
5.お中元の品の感想や喜びの気持ちを伝える言葉
6.結びの挨拶
7.(結語)
これらを意識して書くだけで、相手にも伝わりやすく且つ礼儀正しい文面になってきます。
また、遠方の地に勤めているなど、なかなか会えない環境にある場合には、部下宛の例文2のように自身の近況なども少し盛り込むと、相手も喜んでくれることでしょう。
また、時候の挨拶は時期を間違えないように使いましょう。
上の例文では上司宛・部下宛それぞれの例文1は7月の挨拶、例文2は8月の挨拶を使っています。
地域によりお中元の贈答時期が異なるので注意が必要です。
なお、頭語と結語に関しては、省略する場合もあります。
頭語は最も頭に置く言葉で、相手に対する敬意を表しています。
また、文章の末尾にくる結語との組み合わせは決まっています。
ですが、親しい間柄になってくると、この頭語・結語に関しては省略することもあるわけです。
上の例文の中で使用しているのは「上司宛例文2(比較的顔を合わせる機会がない場合)」の「拝啓・・・敬具」だけですね。
頭語と結語を使用するかどうかは、より一層丁寧にかしこまった文章にしたいかどうかなど、相手との間柄や関係性で決めましょう。
ちなみに、年賀状や暑中見舞いのような季節の挨拶や弔事、詫び状などには頭語・結語は使いません。
参考まで。
書き方のポイントは?お中元のお礼状のマナーは?
例文や基本的な構成を確認した後は、書き方のポイントやマナーについて考えていきましょう。
まず、書き方のポイントとしては次のようなものが挙げられます。
<お礼状の書き方のポイント>
・基本的な構成を意識してスムーズな流れの内容にする
・目上の人への言葉遣いはより気を配る
・目下の人であってもあまりにカジュアルな言葉遣いは避ける
・環境を無視した内容にしない
(毎日顔を合わせる間柄なのに「いかがお過ごしですか?」のような不自然な問いかけはNG)
・感謝の気持ちに、家族の喜びなども加える
・夏の暑さに相手の体調を案ずる言葉を入れる
普段かしこまった会話をすることがなくても、文面で表現するときにはそれ相応の言葉遣いや気遣いを心がけましょう。
次に、お礼状のマナーについて挙げていきましょう。
<お礼状のマナー>
・お中元の品が届いたら3日以内にはお礼状を出す
・留守などで受取やお礼状を出すのが遅れた場合には詫びの言葉も添える
・中身をきちんと確認し、感想が言えるようにする
・縦書きの方がよりマナーが良いとされるので、特に上司宛の時には縦書きにする
・ハガキや便箋の絵柄にポップなデザインや色使いのものは避ける
やはり、わざわざお礼状を出すというのは正式にお礼の挨拶をしたいという気持ちの表れでもあるわけですから、たとえ親しい間柄であってもそれなりのマナーを守りましょう。
カジュアルにくだけた内容のお礼状にするくらいなら、お礼状という正式な形をとらずに口頭で直接お礼を言う方が感謝の気持ちが伝わりますよ。
次のような和の便箋セットであれば、夏に「涼」を感じられる雰囲気の良いお礼状になりそうですね。
◆縦書き横書き用罫線下敷き付き「和紙 便箋(紫陽花)セット」
お中元をお断りするときの書き方は?
お中元はお世話になっている人への感謝の印とはいえ、いただく側としてはお断りしたいこともあるでしょう。
退職して数年経ったり、異動などで疎遠になっていたり、相手の負担を考えると忍びなくなってきたり。
相手もおそらく同じように
「そろそろ贈らなくてもいいような関係だけどやめるタイミングがわからない・・・」
と悩んでいるのではないかと思うと、なおさらどうにかしたくなります。
最後にここでは、失礼に当たることなく、今後の関係も円滑なものにする上手な断り方についてまとめていこうと思います。
<断りの書き方のポイント>
・お礼状を書く際に、感謝の気持ちを丁寧に述べた後にひとこと添える
・お礼状に添え忘れたときは、暑中お見舞いや残暑お見舞いなどで知らせる
・コンプライアンス上や立場上受け取れない場合は、その旨をきちんと伝える
・相手が目上の人の場合は倍返しの品を用意してお礼状(断り状)を書く
・「不要です」の一方的な意見ではなく「遠慮したいと思います」とお願いの意を示す
<断りの例文>
蝉の声が日増しに強く暑さを感じる今日この頃、●●さんやご家族の皆さまも体調は崩されていませんか?
さて、このたびはご丁寧なお心遣いをちょうだいしまして誠にありがとうございます。
暑い夏も乗り越えられるような美味しいハムを家族一同で楽しませていただきました。
異動になって早5年、ご無沙汰しているにも関わらず、変わらぬお心遣いに恐縮です。
これからはこのようなお心遣いなどなさいませんようにお願い申し上げます。
暑さはまだまだ長く続きます。
皆様どうかくれぐれもご自愛くださいませ。
お礼のご挨拶にて失礼いたします。
いただいたことへの喜びや感謝の気持ちをしっかりと伝えたうえで、今後は遠慮するという意思表示をしている文面です。
相手にもすんなりと受け入れてもらえそうですね。
まとめ
お中元やお歳暮、暑中見舞いや年賀状など、季節の挨拶を大事にしたいと思う一方、いつまで続ければいいのか、どこまでの範囲で行えばいいのかという悩みも尽きません。
とはいえ、せっかくいただいたのであればありがたくちょうだいし、丁寧にお礼を伝えたいものですし、事情があって受け取れない場合は誠意を持って感謝の気持ちと合わせて断りを入れたいものです。
いただく場合でも断る場合でも、きちんとマナーを守り、お互いに気持ちの良い関係が続くようなお礼状の書き方の参考になれば幸いです。