毎年10月上旬に行われる松山秋祭り。
喧嘩神輿の鉢合わせが大きな見どころですが、過去には死者でてしまうほどの大惨事になっていました。
それを顧みて、現在ではルールに則って鉢合わせが行われています。
そのルールの詳しい内容を調べてみました。
また、喧嘩神輿の勝敗はどうやって決まるのか?
そもそもなぜぶつけ合うのか?
ぶつけ合うことに神事としての意味合いはあるのか?
も紹介していきます。
目次
松山道後秋祭りの鉢合わせルールは?
鉢合わせのルールは下記のようになっています。
- 昨年鉢合わせをした組は今年は合わせない。
- 鉢合わせは前突きでなく横当てで、お長柄(かき棒)から前へ出てはいけない。
- 神輿を分けるのは総代と双方の神輿の大頭取だけ。
昨年鉢合わせをした組は今年は合わせない。
1については賢い決まりですね。
喧嘩に負けた方は次は絶対に勝つ!!と意気込むことは間違いないでしょう。
スポーツでもそうした悔しさをバネに頑張ることはありますが、暴力に発展するとなると話は別です。
神輿で負けても喧嘩じゃ負けん!なんて思う人もいるかも知れません。
そんなことにならないように、あえて去年と今年の対戦カードを変えると。
しかし、この対戦相手は毎年話し合って決めているそうです。
今年はここと戦いたいという要望も取り入れつつ決定するのだとか。
そうなると2年後に悔しさを晴らす、という考えも浮かびそうですが。。
ただ1年よりも2年経ったほうが遺恨は薄れていることでしょう。
時間が負けた傷を癒やしてくれる面もあるはずです。
鉢合わせは前突きでなく横当てで、お長柄(かき棒)から前へ出てはいけない。
2についても身の安全や喧嘩に発展すること避けるための措置でしょう。
松山秋祭りではありませんが、前突きをすると以下の動画のようにかき棒が人のほうに倒れてくる恐れがあります。
松山秋祭りの2006年の事故では神輿同士の間に挟まれて命を落とすことになったといいます。
かき棒が伸びている面をぶつけ合うと、神輿がどんな挙動を起こすか予測が付きません。
横当てのみにしてお長柄より前に出ない。
挟まれる恐れがあるのはまさにお長柄より前の位置。
このルールは絶対ですね。
神輿を分けるのは総代と双方の神輿の大頭取だけ。
3の神輿を分けるというのは、おそらくぶつかった後に離れるタイミングということでしょうか。
担ぎ手は周囲の状況は全く見えていないでしょう。
上から冷静に周囲を見渡すことで安全を確認した上で離れていく。
外せないポイントです。
当初はこれらのルールをすんなりと受け入れられたわけではなかったのだとか。
総代の努力でようやく馴染み、受け入れられてきたそうです。
反発していた人たちも、このルール通りにやった後はいい結果になることに気づいていったのではないでしょうか。
このルールを作った総代は以下のような信念だったといいます。
「人のけんかと遺恨を残すことは絶対いかん
各神輿の大頭取の責任でもって体を張って止めなければだれが止めるのか」
また総代が以下のようなお願いもしているとのことです。
- 鉢合わせはさびかない(神輿を激しく上下にゆすらない)、引きをよくする。
- くれぐれも大頭取の指示を聞くように。
総代の人柄が表れたルールと言えそうです。
悪い意味で気性の荒い人だったらもっと別の形になっていたかもしれません。
そうなると、お祭りの存亡すら危うくなってくる可能性もなきにしもあらず。
大頭取の推挙で決まった方だそうですが、その決定も英断だったと言えそうです。
喧嘩神輿の勝負判定はどうやって決まる?
喧嘩神輿の勝敗は片方の態勢が崩れてきたら決まるそうです。
まさに全員の力の総合値がものをいう勝負。
ただ、鉢合わせの動画を見ると分かりますが、ぶつかった直後に衝撃でやや態勢を崩してしまうケースもあります。
そうなると、力勝負というより、崩れず生き残ったほうが圧倒的有利。
勝敗もそのまま決まってしまうでしょう。
超重量の神輿がぶつかった衝撃すらもこらえるのが男の勝負!と言えなくもないですが、反動がどこに向かうか予測がつきにくい面があるのも事実。
衝撃に耐えられるかは運が関わっているところもありそうです。
そもそもなぜぶつけ合うの?どういう意味がある?
ぶつけ合うことには神輿に宿る霊威を高める意味合いがあるそうです。
ぶつける以外にも揺さぶりをかけることで御魂を発動させ、神を喜ばせることに繋がるのだとか。
激しく揺さぶるほど喜ぶそうで、やはり戦いの神らしい一面です。
他の地域の神事では山で作られた船を初めて海に出す際、海上で荒々しく横転させるんだそうです。
それは船に宿る山の霊を落とし、海の霊に付け替える意味があるのだとか。
形は違えども、神輿や船に神が宿るという考えは全国共通のようですね。
まとめ
松山秋祭りの鉢合わせルールは総代の細かいルールに沿って行われていることが分かりました。
安全を確保するために、裏で色々と努力や試行錯誤されていることが窺われます。
傍から見ると、血の気の荒い者同士が派手にどんぱちやっているようにしか見えないかも知れませんが、総代の気持ちとしては遺恨なく楽しいものにする、という思いがあります。
真剣勝負の後は勝っても負けても恨みっこなし。
勝負の後に握手をする様子が見られるのも、そうした心意気の表れなのかもしれません。
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