寝ても覚めても勉強ばかり。
そんな長く大変な受験生活を終えて、晴れて大学生になる未来ある若者たちの新しい門出となる入学式を迎えるにあたり、祝辞を述べることになった場合はどのようなことに注意すればいいでしょうか。
高校生活を終えたばかりの者、浪人生活を経て長い戦いを終えた者、一度社会に出た後に再び学びの場に戻ってきた者。
スポーツなど得意なものの更なる高みを目指してやってくる者もいるでしょう。
大学という場にはたくさんの夢と希望、目的を持った人々が集まってきます。
そんな学生達の心に響くような祝辞とはどのようなものがいいか、また、時候の挨拶を盛り込む場合のポイントなど、考えれば考えるほど頭を抱えてしまいそうです。
そこで今回は、
大学の入学式で祝辞を述べることになった市長や来賓、学長（総長）の挨拶例文をはじめ、時候の挨拶を盛り込む場合のポイントについてまとめていきましょう。
祝辞を述べることになったみなさん、ぜひ、それぞれの立場に合った例文を参考にしてくださいね！！
大学入学式祝辞丨市長の例文!挨拶のポイントや注意点は？
まずは、市長の挨拶のポイントや注意点をまとめていきましょう。
市長が大学の入学式で祝辞を述べる場合の多くは「市立大学」での事でしょう。
もちろん、その他の国公立の大学、私立の大学であっても、その市に他の大学がない場合であれば、市をあげて祝福することもあるでしょう。
いずれにしても、市民を代表しての祝辞となるわけですから、それなりにきちんと、それでいて学生の耳に通りやすい内容にしたいものですね。
＜市長の大学入学式祝辞のポイントや注意点＞
・新入生へのお祝いの言葉に激励の言葉を盛り込む
・自治体の代表者として、大学と地域との関わりなどの話題を盛り込む
・市長（町長）という立場上、あまりくだけた言い回しは避ける
・大学教職員へのお願い事なども入れる
以上のことを踏まえて、例文を紹介してみましょう。
【市長の大学入学式祝辞例文】
各地から桜の便りが聞かれる季節となりました。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
我が○○市においても桜の花が見頃を迎えており、皆さんは桜色に染まったこのキャンパスで新しい生活の第１歩を踏み出したわけです。
多くの希望を胸に、多くのことを学び、多くの経験をし、社会で生かすことができるよう日々精進していただきたいと思います。
また、この度の○○大学への進学を機に、始めて我が○○市へ足を踏み入れたという人もいるのではないでしょうか。
お年寄りや子供に優しい街づくり、世界規模で考える環境問題への取り組みなど、我々が目指す未来を一緒に創り上げていきましょう。
さて、この○○市立○○大学は昭和●●年に＊＊＊＊＊氏により創設されました。
このとき○○市では・・・・・・・（大学と自治体（市）との歴史や関係性などを盛り込む）
そしてまた、この○○市立○○大学は、これまで多くの優れた人材を輩出し、○○市だけでなく、我が国の発展にも大きく貢献しております。
これからこの○○大学で学ぶ皆さんも、先輩方が築き上げた「創造性豊かな発想力と学び続ける姿勢」という校風を追い風として受けながら、有意義な学生生活となるよう志高く励んでいただきたいと思います。
また、＊＊学長をはじめ、教職員や関係者の皆様におかれましては、未来を創る原動力となる学生達の無限の可能性を引き出し、この○○大学が一層活気付くよう尽力を尽くしていただきたいと存じます。
結びに、○○市立○○大学の益々のご発展と
ご臨席の皆様方のご健勝、ご多幸を祈念しまして、
お祝いの言葉と致します。
大学入学式祝辞丨来賓の例文!挨拶のポイントや注意点は？
次に、来賓者の代表として祝辞を述べる場合です。
大学の入学式で来賓として招待されるのは、国公立であれば自治体の議員や教育委員会から、私立の大学であれば同じ法人が経営している他の学校や施設の関係者であったりと、様々です。
また、稀に著名な卒業生や臨時講師として不定期で招く著名人の方々なども来賓として招待されることもあるでしょう。
いずれにしても、来賓者は招かれた立場であることを心して、祝辞例文のポイントや注意点をまとめてみましょう。
＜来賓の大学入学式祝辞のポイントや注意点＞
・新入生へのお祝いの言葉と激励の言葉を盛り込む
・大学という学びの場の意義をしっかりと伝える
・学長、教職員、関係者の方々へ招かれたことへの謝礼を述べる
以上のことを踏まえて、例文を紹介してみましょう。
【来賓の大学入学式祝辞例文】
春眠暁を覚えずと申しますが、寒さから開放され、暖かな日差しを増すこの春の佳き日に○○大学へと入学されます新入生の皆様におかれましては、新しい生活、新しい学びの場に目を輝かせておられますね。
わたくしは、只今ご紹介にあずかりました●●株式会社名誉会長を勤めております＊＊＊＊でございます。
本日は新入生の皆様に、ひと言お祝いの言葉を申し上げさせていただきます。
新入生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。
一昨日、弊社でも入社式が行われ、新入社員を迎えたわけでございますが、皆、社会に出ることへの緊張感でいっぱいの顔つきで、張り詰めた空気にヒヤヒヤしておりました。
ですが、その中でもこれから始まる新しい世界に期待を膨らませ、何かやってやるぞと言う闘志のようなものを感じ、うれしい気持ちにもさせられました。
皆さんもこの○○大学で学ぶにあたり、希望や期待、高い志を持って学び続けることを忘れず、学ぶ環境があることに感謝して実りある学生生活を送っていただきたいと思います。
また、皆さんは大学生という立場をどのようなものだと考えているでしょうか。
わたくしはこの○○大学の第●回生として経営学について学び、卒業後は＊＊関係の企業へ就職いたしました。
後に現在の●●株式会社へと移りいくつかの過程を経て今に至るわけでございますが、思い返せば、○○大学で過ごした４年間は「自由」であり「自由だからこその責任」について追求させられる日々でした。
親元を離れひとりで生活するようになったことで得た「生活の自由」、与えられた授業を受けるのではなく自ら選ぶ「学びの自由」。
しかしそれには大きな責任と周囲への感謝が必要でした。
これが欠けてしまったときに、人は何かを失うのだということを学んだのです。
皆さんも「自由」になったことの意味を履き違えることのないよう、自分はなぜこの大学に来たのかと言うことを今一度見つめ直し、充実した日々をお過ごしください。
最後になりましたが、●●学長をはじめ、学校関係者の皆様、本日はこのような貴重な場にお招きいただきましたこと深くお礼申し上げます。
○○大学の益々のご発展と、学校関係者の皆様、学生諸君、ご臨席の皆様方のご健勝とご多幸を心からお祈り申し上げ、結びとさせていただきます。
大学入学式祝辞丨学長（総長）の例文!挨拶のポイントや注意点は？
最後に、学長（総長）の祝辞についてまとめていきましょう。
学長（総長）はその大学における指導者のトップです。
経営者というわけではないので、大学そのものの繁栄をうんぬんと語るよりも、より良い学びの場を提供する姿勢を見せ、新入生を激励し歓迎する言葉が必要ですね。
学生がこの大学で何をしたいのか、しっかりと認識させてこれからの学生生活が無駄にならないよう働きかけるような内容で進めていくと良いのではないでしょうか。
＜学長（総長）の大学入学式祝辞のポイントや注意点＞
・新入生へのお祝いの言葉と激励の言葉、歓迎の言葉を盛り込む
・保護者へのお祝いの言葉を盛り込む
・特徴的なカリキュラムや授業内容、卒業生の実績などを紹介し、新入生の興味を引く
・学校代表者として、来賓への謝礼を述べる
以上のことを踏まえて、例文を紹介してみましょう。
【学長（総長）の大学入学式祝辞例文】
桜花爛漫の候、新たな門出にふさわしいこの日に、新入生を迎え、多くの皆様にご臨席を賜り、第●●会○○大学入学式を挙行できますことに深く感謝し、喜びを申し上げます。
○○大学6学部に入学された＊,＊＊＊名の皆さん、また、大学院4研究科に入学された＊＊＊名の皆さん、入学誠におめでとうございます。
大学進学、大学院進学に向けて多くの努力を費やしてきた皆さんを、深い愛情を持って支えてこられたご家族の方々やご関係者の皆様におかれましても、心よりお祝い申し上げます。
晴れて大学生、大学院生となった皆さんに、○○大学の一員であることの自覚と誇りを持って過ごしてもらうために必要な３つのポイントついてお話したいと思います。
１つめは、創設者である＊＊＊＊氏が掲げた教育理念である「○×△」です。
（教育理念に基づく話題を盛り込む）
２つめは、「想像性豊かな人間形成」を軸とした数々のカリキュラムを貪欲に吸収していくことです。
我が校では6学部それぞれが・・・（学部ごとの特性などについて盛り込む）
3つめは創設＊＊周年という歴史ある○○大学の校風を肌で感じ、伝統を重んじるということです。
この○○大学の長い歴史の中には、多くの優秀な人材が巣立ち、国の発展、世界の発展にも関わってきました。
記憶に新しいところでは・・・（偉業を達した卒業生などがいればその話題を盛り込む。該当しない場合は、学校の歴史や伝統に沿うような四字熟語や著名人の名言などを引用した話題などを盛り込む）
以上の事を頭の片隅に置きながら、自分の目指すものに向かって勉学に励み、○○大学の学生として恥じることのなく充実した学生生活を送っていただきたいと思います。
そして我々もまた、創立者、卒業生たちが築き上げた功績に感謝し、その意志を引き継ぎながら、明るい未来への架け橋をつないでいけるよう全力で皆さんを支えたいと考えております。
これから共に、更に活力溢れる○○大学を創り上げていきましょう。
最後になりましたが、無限の可能性と無限の才能を秘めた未来ある若者たちの大きな飛躍を祈念して学長の祝辞とさせていただきます。
時候挨拶のポイントは？
今回出てきた３つの例文の冒頭には時候の挨拶が盛り込まれていましたね。
やはり、時候の挨拶を入れることで程よくかしこまった雰囲気も出ますし、春の季節の言葉は心が和むものが多いので、良い意味で緊張もほぐれます。
せっかくなので、ぜひ、祝辞を考える際には時候の挨拶を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ここでは、その時候の挨拶におけるポイントをまとめておきましょう。
ポイント1. その地域の4月上旬の気候や環境に適した表現にする
例文3つのうち、２つの中で「桜」に関わる表現を使用しています。
各地から桜の便りが聞かれる季節となりました
桜花爛漫の候
ですが、地域によっては桜が散ってしまっているところ、まだまだ咲くのは先だというところもあるでしょう。
既に散ってしまっている地域では次のような表現はどうでしょうか。
通りゆく人々の足も軽やかになってきました
春色が日ごとに変わる昨今
若草萌えるころとなりました
また、これから桜が咲き始めるというような地域では次のような表現もあります。
生命の息吹が感じられる季節となりました
日増しに暖かくなってまいりました
鶯の美しい歌声が聞かれるようになりました
地域の気候に合わせた表現を選んでくださいね。
ポイント2. いくつかパターンを用意しておく
例年であれば満開の時期なのに、この年は暖かすぎて既に散ってしまったというようなこともありますし、普段は暖かいのに当日に限って春の嵐のような寒さがある場合など、春の気候は変わりやすく、読みが難しいものです。
更には、先に祝辞を述べる人と同じ時候の挨拶を用意してしまったというハプニングもあるかもしれません。
次のようにいくつかパターンを用意しておくと安心ですね。
市長の挨拶例文より
各地から桜の便りが聞かれる季節となりました
↓ （全国的に開花が遅くなっていたりピークが過ぎてしまっている場合）
日増しに暖かくなってまいりました
やわらかな春の光の中
学長（総長）の挨拶例文より
桜花爛漫の候
↓ （当日に桜が咲いていない、散ってしまった場合）
菜の花が美しく咲き誇っています
緑色の新芽が美しく光っています
まとめ
いかがでしたか？
大学には年齢や国籍問わず多種多様な人々が集まってきます。
あまりわかりにくく難しい言葉を並べるよりも、明確簡潔に組み立てた方が飽きられることなく胸に響きやすいでしょう。
とはいえ、相手は「大人」です。
それなりの言葉と表現を駆使して程よい堅苦しさも出したいところですよね。
そこに有効なのが時候の挨拶です。
かしこまった雰囲気を出すのにちょうど良い表現方法を上手に使って、新入生のお祝いの言葉を届けてください。
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